文/道上健太郎
2018年2月4日、広島において熱鍼法実践会を開催させていただきました。
今回の熱鍼法イベントでは「意識・感覚を高める」をテーマとしましたが、熱鍼法がシンプルでいて高い効能があるというその実感を深めていただきました。
熱鍼法の最大の強みは、人体において横軸にあたる十二帯や縦軸にあたる経絡等の診断の理論などを知らなくても、基本的にはどのような手順で刺激していっても構わず副作用といえるものが特にないこと、「熱い」でも「気持ちいい」でも、とにかく相手が特別な反応を示す場所をしっかり刺激すればよいことにあります。
施術者は「自分がいやす」という意識ではなく、相手の自己治癒力を信じて熱鍼の刺激によって反応があるか、あれば刺激の量を増やすかどうか、と、観察者/観照者として平衡の意識を保つことが重要となります。
一方、熱鍼法を受ける方もただひたすらに任せきるより、熱いけれどもギリギリ大丈夫な温度を見極めて施術者に情報をきちんと伝えることでより高い効果を得られることもハッキリしてきました。
創始者の平田内蔵吉は「熱くて痛いのが気持ち良いのだと言い聞かせよ」「丹田にグッと力を込めて熱さに耐えよ」などと述べており、どこを刺激しても大丈夫なやさしい温度で施術することは否定しています。
ここでは詳しくは述べませんが、熱鍼法の原理は皮膚表面に各部の不調和があらわれているとし、激烈な刺激によって皮膚から不調和の原因に信号を送って不調和を反転させるというものであるため、中途半端な高さの温度の刺激でよいならそもそも熱鍼器の使用は意味がないことになってしまうわけですから、当然の指示でありましょう。
とはいえ温度が高すぎると刺激を受け切れなくなって、熱さ痛さに文字通り飛び上がってしまって施術が進まなくなりますから、ここはどこの辺りが最も効果的な刺激であるかを見極める必要があります。
これを理屈でなく自分の心身で理解するために、施術者は施術の経験を積むだけでなく、被術者としての経験もある程度積む必要があると考えています。
そのこともあり、今後も熱鍼法を実践し合う会の開催を継続していく予定です。